【絵本】踊り場のエメラルド

 

 
十分に幸せを感じれたエマは、また過去の耐え忍ぶ生活に戻っても構わないと思っていましたが、記者と王子は相談し、エマのこれからについて話し合ってくれました。
 
当然、継母のところに戻る必要はないし、エマが王女と分かれば、本来の場所へ戻るのが自然です。国王も王妃も喜んでくれることでしょう。
 
ただ突然のことだったので、慌てて事を起こすよりは、段階を踏んで話を進めていくことにしました。
 
時が来るまで、エマは記者の会社で過ごさせてもらうことになりました。
 
この日から、社内の空いている部屋で生活し、料理をしたり、リリーと遊んだりする日々が始まりました。
 
記者から他の社員達への説明も済んでいるらしく、皆気さくに話しかけてくれるので、それも楽しみになっていました。
 
記者は、変わらずエマの写真を撮り続けていました。また、王子も時々会社に寄って、エマと話をしたり、エマが作る料理を楽しんだりしていました。
 
きっと水面下では、エマの身の振り方について考え進められているのだと思われますが、エマはこの自由気ままな生活も気に入っていました。
 
ぎゅっとかたく閉じていたエマの羽が、今は大きく広げられ、軽くどこにでも飛んで行けそうです。
 
それはもちろん、親のように強く守ってくれる記者と、優しく包み込むような愛を送り続けてくれる王子の存在が大きく、そばにいるからこそ安心していられるのだとわかっていました。
 

 
 



 

 
エマがここに移り住んで二週間ほど経った頃、エマがキッチンに向かい、料理のレシピを考えていた時のことです。記者と王子が真剣な顔つきでやってきました。
 
突然、王子がすっとエマの前に来て、ひざまずきました。
 
そして王子は一言、シンプルに想いを伝えました。「結婚してください」と。
 
突然のことで、一瞬エマは気が動転しましたが、これが自然な流れだということも、なんとなく感じていました。
 
もちろん、彼女はイエスと答えました。
 
どんな状況でも諦めず、前向きに信じて行動し続ければ、夢を叶えることが出来る。それを、彼女はシンプルに体現したのです。
 
 
それから先は、全てのことがとんとん拍子に進んでいきました。
 
今、エマと王子は、エマの本当の親・国王と王妃の元で、一緒に暮らしています。
 
もちろん、ネコのリリーも一緒です。
 
いまや王子は、十数年かけて大切な王女を見つけてくれた素晴らしい青年として、王室の間だけでなく、国民にも賞賛される存在になっていました。
 
また、恋のキューピッドとなった雑誌記者も、この度の件で有名人となりました。
 
エマとの出会いは偶然ながらも、雑誌記者の働きかけのおかげで、結果、長年行方不明だった王女が見つかり、また王女・王子の二人が結ばれることとなりました。
 
 

 
 



 

 
国中が、温かくて幸せなムードで満たされている中、記者は、新しい雑誌を作りました。
 
タイトルは、『EMERALD(エメラルド)』。
 
誌面には、掲載できる範囲で、王子と王女の幸せな日々の生活の様子が載っています。
 
内容は、主にエマの料理やドレス、趣味などですが、華やかなものよりも、エマのこれまでの生活の知恵を活かした、庶民的な内容が、爆発的に国民に受け入れられています。
 
階段の踊り場で、惨めで小さな暮らしをしていたエマは、今や国民の憧れの存在。特に、夢見る少女達のシンボルとなりました。
 
 

 
 


 

 

 


おしまい☆

 

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乙女モード全開( ´艸`)とってもメルヘンなお話でした(*^-^*)
 
お話を書き進めるのが大変で、1年以上かかってしまいましたが、最初にこのお話を考えたのは、20代の頃でした。
 
やっと書き終えられて、カタチにできて、ホッとしています。
 
こんなに時間がかかったのは、なんというか…自分の内側にあるラブ、メルヘンな世界をオープンにすることが、なかなかできなかったということなのかもしれません。
 
十数年かけて、どんどん私のハートが癒され、開いてきたのだと思います。
 
 
物語のサクセスストーリーは、私達に勇気を与えてくれますね。
 
これからも、私は自分を信じ続け、ワクワクしながら前へ進んでいきたいと思います(^^)/
 
 

 
 

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